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※パラレル注意 沖田と神楽が夫婦でそのこどものはなし 幸せな家庭をつくりましょう 「母さんも、父さんも、いやなんだよ」 母さんは世話焼きでいつも追い掛け回すから。父さんは何にも関心を持ってくれないから。(でもたまに私を見て笑う)(どうせ顔立ちは母さんそっくりですよ) ちょっと前に銀さんが「お前喋り方以外は父ちゃんも母ちゃんのも全部吸い尽くして生まれたんだな」って笑って言ったのを覚えてる。 大食いなのも力が強いのも日に弱いのも(これは少しだけ)、悪戯好きなのももちろん剣だってつかえる(持たせてもらえないけど)たまに志村家の道場に行くくらいだ。 母さんは私に傘を渡すのも外へ出すのも物凄く拒んで外の世界をしるのは物心ついてからだいぶ遅く。 そのせいか昔母さんがお世話になった銀さんの家に私はよく遊びに来ていた、そして今日も。何故か母さんと父さんは私が遊びに行ったのを知ると怒るので少し前に銀さんに二人だけの秘密にしようって約束した。 「お願いだから母さんと父さんには内緒にしてて」 「密会かよ、俺なんか怪しいおっさんじゃん」 「既に怪しいおっさんだよ」 「ひっでぇな」 まあ別に俺はいいけど、という何とも投げやりな了承を得て、やりとりが別にロマンチックでも何でもない二人だけの秘密をつくることに成功した。 「でも、すきなんだよね」 「あたりめーだ、親を大事にしろ」 「してるよ、しすぎなくらいね、たまには反抗してやりたいけど」 「すればいいじゃねーか」 「できないよ…」 小さい頃勝手に母さんのケーキを盗み食いしたことがある。その頃ははっきりと母さんの強さを知らなかったのだ。 母さんの早口で何を言ってるのかわからない言葉を耳にしながら頭を軽く叩かれ泣き叫べば父さんが恐ろしい顔で睨んでくる。 思い出してぞっとするどころか自分の失態に呆れてしまった。そしてケーキごときで怒る母さんにも。 「銀さんはさあ、何も知らないから、うちの家庭を」 「家庭がどうなのか知ったこっちゃねえけどお前の父ちゃんも母ちゃんもよく知ってるけどな」 「それは知ってるよ、聞いた」 「母ちゃんなんか今のお前くらいの年からだぜ」 「その節は母がお世話になりました」 何いってんだか、と銀さんはくつくつと笑ってフォークをケーキに刺す。 手土産に持っていったケーキたちはもうじき姿を消す。五個もあったのに。 「お前は幸せ者だよ、ほんと」 そういった銀さんの顔は悲しそうな、なんというか寂しそうな顔だった。そうかなあと首を捻って、でもやっぱりわからなくて捻った首を元に戻す。 「好きにすりゃいいさ、お前だって年頃の娘だかんな」 その年頃の娘と密会してるのはどこのどいつだ、と思いながらテーブルの上のケーキの箱やらの片付けをして、銀さんの家出た。またくるから、と残して。 母さんが私に世話を焼くのは心配でしょうがないから。母さんは私が譲り受けた母さんのものについてどう思っているのか不安で心配でしょうがない、と父さんが言っていた。 何だかんだいって父さんだってそういうところには気づくのだ。親はよくわからない。きらいはやめとこう。母さんは本当に傷つく気がする。 考えてたらあっという間に家に着いてしまい戸をあけてただいまと言おうと思えば高い声の怒声。しかも右手にフライパンが握られてる。 「まーた銀ちゃんのとこいってたアルか」 履き物を脱いでぶつぶつという母さんの横を通って居間に転がる。それでも母さんはぺらぺら喋る。ずっと喋る。違うよ、と否定してみても(嘘だけど)駄目で攻撃は続く。 父さんも呆れた顔してため息をついた。 「うるさいなあ、もう、私父さんや母さんより、銀さんが好き」 母さんに握られていたフライパンの柄は可哀想な音をたてて曲がり(さよなら17代目のフライパン) 父さんは顔を引きつらせて私を見たり母さんを見たりしてそわそわしている。 「おまっ、それ本気で言ってんのかィ」 「いつからそんな子になったアルか!しかもよりによって天パのおっさんヨ!あああやっぱり総悟の教育が悪いのネ」 おいおいと泣き真似した母さんに父さんが近づいてああだこうだの言い合いが始まった。しかも楽しげに。そんなのを見るのも面倒になってきたのでまた私が降参するはめになる。 「でも、母さんも父さんも、好きだよ」 父さんはいい年して顔を赤くして(どうせ出会った頃の母さんでも思い出したんだろうに)好きといわれたのがよっぽど嬉しかったのかさっきの怒りはとんでいって母さんはにっこり笑って私を抱きしめた。 確かに私は幸せ者かもしれない。 |