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いちばんヒトにちかい かき氷食べたいですねと山崎がぼやくので、じゃあ買ってこいよと言ったら無言で立ち上がってどっか行った。逃げやがってあいつとか思って、寝ていたら本当に買って来た。 はいどうぞ。アイマスクをずらしたら山崎が突っ立っているので、ボケることも忘れて受け取った。そんなこんなで、胡坐をかいて、真っ赤な氷を頬張った。一口目は舌が火傷したかと思った。二口目で歯と脳が痺れた。三口目でやっと味がわかった。男二人でイチゴか。大してイチゴの味がするわけでもないのに思った。色のせいだろう。 「あー、冷てェ」 「はは、そうですね」 落ちそうになった額の滴を拭う。吐いた息はやけに冷たい感じがした。黙々と食べていると山崎がぼんやりと器を眺めているので蚊でも沈んだのかと聞いてみれば、「血の色だなあと思って」と ゆらめく赤の液体を見ながら寂しそうに言って、その"血"を飲んだ。唇の端についたそれもぺろりと舐める。こいつに赤は似合わねェなあ、なんて思いながら俺もすっかり溶けてしまったかき氷を口へ流し込む。 「死んだ時にもし血飛沫とかあげて死ぬなら、生臭い血よりこっちのほうがいいなあ」 「何でお前はすぐそっちに結びつけるんでさァ」 「癖ですかね」 山崎が近寄ってきて転がしていた空の器を拾った。「だって、考えませんかそういうのって?」静かな声で言って俺の目を見るのだ。(檸檬とでも言っとけばよかった)山崎はたまに怖い。それは何故だろうと思ったけれど頭が痛くなってきたので考えるのをやめた。 |