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ざわついた昼休み、今日も俺はいつも通り花井と阿部と飯を食ってるわけだけど、どうも俺だけ一人べらべら喋って、途中で相手にしてもらえなくなるというパターンが段々定着してきた。 それでも俺は喋るわけだけど、阿部がお得意の恐ろしい目でこっちを見てきたので話すのをやめた。まあ、阿部に今俺が食べてるこのダブルチョコクリームサンドの美味しさを語ってもわからないだろうからいいけどさ。渋々黙って食べていると「花井、あれさ」 とパチンと阿部は弁当箱の蓋を閉じて、黒板のほう見た。(俺を黙らせたのって自分が喋るためかよ!) 「ああ、英語の小テスト?」 花井が答えた通り、英語、来週水曜日小テスト実施と黒板に書かれていた。 「えーあんなんいつ書いたっけ?」 「お前が馬鹿面して寝てるときだよ」 「なっ…!」 「阿部ー、そう言うなよ。四時間目の終わりにでかい声出して言ってたろ?」 優しい言葉をかけてくれた花井が見た目とダブってか仏のようにみえた。しかし残念ながら俺は阿部の言う通り確かに爆睡してました。 しかもその阿部がわざわざ「飯だ起きろ」と頭を叩いて起こしにきたのです。でも俺はそれを起してもらえたんだからありがたいとポジティブに思ったのに阿部はひどい返しをしてくる奴だ。 「で、それで?」 「わかんねーとこ教えて欲しいんだけど」 「あ!俺も教えて欲しい!阿部がわかんないなら俺もわかんないはず!」 「はぁ?お前範囲もよくわかってねーくせによくそんな事いえるよなぁ」 そう言いながら阿部はごそごそと机から教科書を取り出した。何だよ阿部、お前そんな真面目なキャラだったの?早くに食べ終わって暇していた花井はどれどれと身をのりだしす。 「待った!俺まだ食い終わってない!」 「俺と花井はもう食い終わってる」 「うわぁ、花井ー阿部がひでぇよー」 「…いいからお前はさっさと食え」 何だよ花井まで。ついに阿部の鬼が乗り移ったな!そうこうしてる間に花井と阿部の間では話が進んでいる。「ここの訳がさー」とか「これ何で原形なんだよ」とかもう追いつけそうにないからいいや。あーあ、マジで俺の扱いひどくない?…お!「ああ、そうだな」「そうすっか」と話の終わりがみえる会話が聞こえてきたぞ! ちょうど俺も本日の昼食を終えて(ナイスタイミング俺!)会話に加われる!と思ったのに、阿部が立った。続いて花井も。 「へっ、何、どうしたの?」 「だから!花井もわかんねーから職員室行ってくんだよ、ほんとお前話聞かねーな!」 「阿部、早く行かねぇと予鈴なるぞ」 「おっ、やべ、」 「え、ちょ!あ!…あー」 ちょっと前に花井が定期テストで点が取れたら取れたでいいけど、小テストとか提出とかで平常点稼いでおいたほうがいいぞ、というのを三橋や田島に教えてたのを思い出した。 阿部なんかそこまで頑張んなくてもいいじゃん。頭良いんだし。教室を見渡せば男子の殆どの姿が見えない。多分部活の昼練や他のクラスに移動して行ったんだろうなと思った。 阿部はああいうキャラになっちゃってるし、俺もいじられてたまに肝心なところでミスするっていうちょっと情けないキャラっていうのになっちゃってるんだよ。だからしょうがない。(この状況を、俺は受け入れるぞ!) 寝ようにも先ほど散々寝たし、ちっとも眠くないのでMDでも聞こうかとポケットを探っていると「あらー、水谷くん、ひとり?」と寂しい俺に天使の声が! 「そうなんだよー置いてかれちゃったんだよねー、阿部がお前は来るなって顔しちゃってさぁ。絶対俺阿部に嫌われてるよー、絶対そうだ!」 「そんな本気で嫌うわけないって!大丈夫大丈夫!職員室だっけ?そういえばさっきなんか言ってたねぇ」 「そうそう、英語聞きに行くんだって、俺もわからないとこあるけどさー、真面目だよなあ、もう俺阿部についていけない!俺に対する優しさがないんだよ!前数学教えてもらった時も鬼のようだったし!あれは怖かったー…」 「あはは!それよりもわからないとこあるんだったら一緒に行っちゃえば良かったのにー」 「ああ、いいのいいの、帰って来たら二人に教えてもらうから」 そう言ってへらへら笑っていると、篠岡に「二人って結局阿部君にも教えてもらうんじゃん!」と笑われてしまった。 きみのいいとこわるいとこ
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