あした、あえない

将来のことなんてどうでもよかった。俺達はさきのことなんて予想できる頭を持っていなかったからだ。 それに何が起きるかよくわからない世の中だ。寝て起きて飯が食えればそれでいい。(ついでにあの上司をからかうことができたらいい) 俺達はただ生きることを望んでいた。ただ一人のにんげんという生き物として生きることを、強く望んでいた。 果たしてこの望みが叶う日がくるのだろうか。いつか暖かい日に団子でも頬張って(彼女の横には俺より倍の団子があって、)そんなことを望んでいた日があったなぁ、と話せたらいいなんて、思っていた。


たしかに、そう思っていた。思っていたはずだった。遠くもない近くもない存在がひとつ消えた。それだけのことなのだ。 俺達は(おっと、間違えた。もう俺しかいない)もうどうしていいかわからなくなってしまった。 なんで、置いてかれたんだ。置いていかれた、置いていかれた?そうさ、俺から離れたわけじゃない。これは置いていかれた、ということなのだ。 俺はやはりにんげんだった。たしかに心があったことを今になって知ったのだ。 きっとそのことを知れば彼女は喜んでくれるだろうあの片言の言葉で、きっと。(片言といっても出会ったときに比べたら、上達している) もし俺がもう少し頭がよければ違う結果になったのだろうか。例えば将来の約束なんかしてたのなら、少しは変わっただろうか。 子供だった俺たちが、将来の約束を?笑ってしまう。できるわけないだろう。ただその時さえ会えればいい。ガキみたいだけど、そう思っていた。 あの声も、笑っていた顔も、握った細い腕も、柔らかな唇の感触も、じきに忘れてしまう、怖いなぁ、怖すぎる。 未だに俺は何を思って彼女と居たいと願っていたのかはわからない。けれど、今は死んででもいいから(実際に死ぬ勇気なんてものは、ない)、もう一度だけ会ってみたいとは思う。 頼むから、もう一度だけでいい、会わせてくれよ。